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競艇選手について

選手のクラスと級別審査について

「競艇の特徴について」でも少し触れましたが、競艇にも他競技と同様、選手のクラス分けが行われています。このクラス分けを行うシステムは級別審査と呼ばれ、出場選手のクラスは舟券を購入する際の一つの大きな指標となります。

競艇選手は今や1500人以上いると言われていますが、やはりそれぞれの選手にはそれぞれの個性、特徴というものがあります。先にも述べたように、競艇では選手のクラスによってレースが区別されることはなく、強いベテラン選手が新人選手と競うといったことなども普通に行われます。競艇は強い選手も弱い選手も混在してレースが行われるという特徴を持つため、この「選手のクラス」という一つの基準は、選手にとっても舟券購入者にとっても一つの大きな目安となります。

さて、選手の階級はそれぞれ「A1級」「A2級」「B1級」「B2級」と分けられています。A1級が成績の高い選手となり、逆にB2級が成績の低い選手となります。これらは選考期間中に決定付けられ、適用期間中に各選手の正式な階級として適用されます。選考期間は、前期が毎年5月1日から10月31日、後期が11月1日から4月30日と定められており、このそれぞれの期間の2ヵ月後(前期が1月1日から6月30日、後期が7月1日から12月31日)が適用期間とされています。選考期間終了間際は、選手達のレースもヒートアップし、競艇がもっとも熱気を帯びる期間であると言えるでしょう。

レーステクニック(決まり手)

競艇は、ボートによるレースではありますが、単にボートのスピードを競うだけのものではありません。もちろんボートの整備や使用するプロペラの精度なども勝敗を分ける大きな要素ではありますが、やはりレースでもっとも要されるのはボートの乗り手である選手のレーステクニックであると言えるでしょう。レースでのテクニックとしては決まり手となる「逃げ」「捲り」「差し」「捲り差し」「ツケマイ」「抜き」などといったものや、コーナーリングにおけるボートの旋回技術として「捌き」「切り返し」「モンキーターン」「ウィリーモンキー」といったものなどを挙げることができます。

決まり手となる「逃げ」や「捲り」といったものは、競輪などにおいても同様に使用されるものなので、この言葉に馴染みのある人も多いのではないでしょうか。念のため簡単におさらいしてみると、「逃げ」はその名の通り先頭の選手がそのままゴールまで逃げ切るといった形のものであり、戦法としてはもっとも一般的なものでしょう。「捲り」はアウトラインから一気に先頭へと追い上げる方法で、客席を沸かせるもっとも代表的な戦法であると言えます。「差し」は「捲り」と対照的にコーナーリングにおいてインラインから先頭へと躍り出る戦法で、この場合先頭選手の引き波を越える事となるため、選手のバランス感、操作テクニック、そしてモーターの馬力がもっとも必要とされるものであると言えるでしょう。「捲り差し」は文字通り「捲り」と「差し」を合わせたもので、アウトラインからインラインへと差し込む戦法を指します。戦法としてはもっとも判断力が求められると同時に、その効果も高いと言えますが、捲り差しを狙って事故が起きてしまうケースもままあります。「ツケマイ」は、捲りと同様の線でコーナーリングを行いますが、内側にいる艇のすぐ隣を通過する事によって、発生させた引き波で他選手のスピードを著しく喪失させる効果があります。

レーステクニック(旋回技術)

それでは次に、競艇におけるレーステクニックとしてコーナーリングなどで用いられる旋回技術について触れていってみましょう。まずは「捌き」についてですが、これは競り合いなどにおいてあらゆる走行技術を駆使し、相手に競り勝つことを指します。「捌き」として特定の形でレーステクニックが存在するわけではありませんが、この「捌き」が上手な選手は成績が安定している場合が多く、特に経験の豊富なベテラン選手に多く見られる傾向です。瞬発力と咄嗟の判断力を備えている選手ならではの技術であり、捌きが上手な選手は「捌き巧者」として高く評価されています。

次に「切り返し」ですが、これはコーナーインする際に、相手の艇の内側ラインへとボートの進路を変え、そのまま相手よりも先にターンマークを回るといった戦法です。コーナーリングに要される距離を最短に留めることが可能ですが、相手の引き波などに注意を払っていなければ失速してしまう場合があります。また、この「切り返し」は「ダンプ」といったテクニックと併用される事もしばしばあり、レースを盛り上げる一つの要素となっています。

「ダンプ」とは、コーナーリングにおいて、相手の艇に自分の艇の胴体側面を当てる事によって、旋回を容易にすると同時に相手のスピードを奪うといった効果があります。一見荒々しいテクニックですが、成功すると通常では曲がりきれない角度でコーナーへ侵入することが可能となり、レースを有利に展開することができます。

レーステクニック(モンキーターンとウィリーターン)

さて、競艇ではこれらのほか「モンキーターン」や「ウィリーターン」といった競艇独自のテクニックが存在します。この項ではこれらについて触れていってみましょう。

まず「モンキーターン」についてですが、これはコーナーリングにおいて艇の上で立ち上がり、前傾姿勢になることによって艇のスピードを維持するといったテクニックであり、「モンキーターン」という名前は、競馬における「モンキー乗り」という騎乗フォームに形が似ているということに由来しています。現在では多くの場合においてこのテクニックが普遍的に用いられていますが、昔はあまり一般的なものではなかったため、モンキーターンを駆使してSG制覇を成し遂げる選手が現れた時は、まさに競艇界の革命期であったと言えるでしょう。このテクニックによって「減速しなければコーナーを曲がることができない=イン水域が有利」という競艇の常識は覆され、競艇界を盛り上げるのに大いに貢献しました。それほど、モンキーターンの出現は画期的であったということです。

次に「ウィリーモンキー」についてですが、このテクニックについては非常に高度なものであり、修得するには年単位での練習期間が要されると言います。コーナーリングで効果を発揮するテクニックで、立ち上がりの早さや、急激なレース展開と、あらゆる点において効果的ですが、ウィリーターンを駆使するには類稀なるバランス感覚が要され、現在でもこうしたテクニックを駆使しているのはベテラン選手勢に留まっています。

選手の持ち物について

競艇選手は、レースを行う際どのような道具を用いているのでしょうか。ここでは、選手達の持ち物について触れていってみましょう。

選手の持ち物としてまず挙げられるのが「プロペラ」です。これはレースにおいてもっとも重要なアイテムであると言っても過言ではなく、このプロペラの精度やまたモーターとの相性がレース展開に大きく関わってきます。選手は計3枚のプロペラを持ち込むことができますが、モーターの具合によってそれぞれのプロペラを使い分ける必要があります。また、プロペラとモーターのマッチングをスムーズに行うこともシリーズにおいて重要なポイントなってきます。

次に挙げられるのがヘルメットと救命胴衣です。これらは事故などから選手の身を守るためのものであり、競技を行う際はこれらを装着することが選手達に義務付けられています。競艇に用いられるヘルメットは競艇用の特殊な仕様であり、競艇選手のみ購入することができます。救命胴衣もヘルメットと同様、事故などから選手の身を守るためのものとして大切なものであり、通常は「カポック」と呼ばれます。このほか、安全のために必要なものとしてはアームペロテクターや手袋といったものもあります。最近ではモンキーターンなどの危険を伴う高度なテクニックが普通に用いられるため、プロテクターや手袋といったアイテムは競艇選手にとって必須アイテムであると言えるでしょう。また、ズボンやシューズなども選手が自前で用意します。

このほかのアイテムとしては、調整用に用いられる回転計を挙げることができます。これはモーターの回転数を計測するためのもので、レース前などはこの回転計を利用しながらモーターの整備、調整を行います。

選手間の人間関係について

競艇は、たとえば野球やサッカーのようにチームで競技を行うものではなく、さらにモーターとプロペラのマッチング調整や整備なども選手自らの手で行わなければなりません。勿論整備点検などのアドバイスを受けることもありますが、選手間において相手のモーターの整備や調整を行うことは、原則として禁止されています。全ての過程を選手一人で行い、またレースも選手個人での戦いとなるわけです。そのため、レースは選手にとって孤独な作業の連続となりますが、選手間の人間関係としては様々な形があり、多様な人脈が存在します。それらは選手を紹介する際などにも度々触れられるため、選手の人脈として代表的なものについていくつか触れていってみましょう。

まず「同期」についてですが、これは一般的に使用される「同期」と同じ意味となります。実は、競艇選手になるためには競艇選手養成学校の各試験を修了し、卒業する事が必要であるという事をご存知でしょうか。つまり現役の競艇選手は全員こうしたプロセスを歩んで現在にいたっているというわけですが、この過程での養成学校において、同じ時期に競艇を学び、同時期に卒業した者同士を「同期」と呼びます。
次に「師弟関係」ですが、これは文字通り「教える者」「教えを請う者」といった関係です。最後に「プロペラグループ」ですが、競艇ではボートに使用されるプロペラが重要な役割を果たします。プロペラの性能はボートの走行にダイレクトに作用し、常々プロペラの開発や研究は積極的に行われてきました。気の合う者同士、また同じ支部、同県の選手が集い、プロペラの研究に情熱を向けるのもごく当然の事であると言えるでしょう。

地区スター制度について

地区スター制度とは、各地域においてその地域でのスター選手を選抜するといったもので、2005年の3月から実施され始めた制度です。地区スター制度の主な目的は「各地域における競艇ファンにとっての馴染み深い選手の育成」つまり、競艇ファンの確保と維持という風にとる事ができますが、これらは地元の興行としても十分な役割を果たします。

地区スター選手として指名された選手は、主に地元プールを中心としてレースに参加していく事になり、地元の競艇ファンにとっては馴染み深い選手となります。また、地元で繰り返しレースに参加することによって、ファンの間でその存在が定着するばかりではなく、その会場におけるスタートタイミングやレース展開、プロペラのマッチング技術なども洗練されていき、結果として「地元で強い選手」が育つことになります。こういった選手は各地域において、レースを盛り上げる重要なキーマンとして重宝されます。

しかしその一方、スター選手は地元でのレースばかりに参加し他場でのレースに参加する機会が極端に少なくなってしまうので、成績は「地元では強いが他場では弱い」と、極端に偏ったクセのあるものとなってしまう場合もあります。そういったことから、地区スター選手とその他一般的な競艇選手の存在意義は微妙に異なるところあると言え、それぞれが一選手として重要な役割を果たしていることには違いありません。なお、地区スター制度による指名選手は、A1級に昇格した時点でスター選手卒業となります。