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競艇の基礎知識

競艇とは

競馬、競輪と並んで、レース性の高いギャンブルと言えば「競艇」を挙げることができます。競艇は水上で行われるギャンブルとしては唯一のものであり、また、ギャンブルとしてもっともメジャーで人気のあるものの一つであると言えます。また、競馬、競輪、オートレースとともに公営競技として認められており、多くの人々に愛されている競技であると言えます。

さて、この「競艇」、一体どのような競技なのかと言いますと、モーターボートで水面を滑走し、ターンマークに従って旋回しながら着順を競うといったもので、ボートは一度のレースで約1800mの距離を航行することになります。モーターボートのモーターの整備やボートの性能がレースの結果に大きな影響を与えますが、レース攻略の鍵はボートの性能のみではなくそれを操る選手の技や能力にも大きく左右され、複合的な要素によって変化するレース展開の戦略性、多様性、また以外性が多くのファンの心をとらえています。またレースにおける選手同士の駆け引きなども一つの大きな見所であり、年齢が増すとともに肉体的なデメリットが増していく他の一般的なスポーツと違い、競艇では選手の体力とともに知略、巧みさなどが重要な要素となってくるため、年長選手と新人選手の競走など競艇ならではの駆け引き、見所が多く存在するのも競艇の一つの魅力であると言えるでしょう。こうしたことから、選手が現役で活躍できる期間が一般的なスポーツよりも長く、そのためファンが定着しやすくかつ馴染みやすい競技であると言えます。

競艇の歴史

競艇の歴史は、モーターボートの歴史と密接な関係にあると言えるでしょう。そもそも初めてボートにガソリンエンジンを搭載しそれを走らせたのが、自動車開発の「ダイムラー・ベンツ」「ダイムラー・クライスラーグループ」などでお馴染みであるドイツの自動車開発パイオニア、ゴットリープ・ヴィルヘルム・ダイムラー博士が最初であると言われています。あらゆる移動機関に搭載することが可能であるエンジンの開発を生涯の目標としていたダイムラー博士が、ボートに着目してエンジンの搭載を行ったのは当然の流れであったと言えるでしょう。1886年に行われたそれらの試みは功を成し、更に1904年にはイギリスにおいて国際的なモーターボートレースが開催され、その翌年である1905年にはアメリカにおいて、世界で最初であると言われるモーターボートによる世界選手権が開催されています。

日本においては隅田川で1931年に第一回全日本モーターボート選手権大会が行われており、1950年には神奈川県逗子海岸と江戸川で日米対抗のモーターボートレースが開催されています。もともと自動車などとは違い、一般的にあまり需要があるとは言えない「ボート」をメインとして競技であったため、これらの競技の認知度はそれほど高いものであるとは言えませんでした。しかし、アマチュアのボート愛好家や団体などの積極的なレース開催や大会の主催などが徐々に普及し、それらが今日の競艇の基本形となってきたものと言えます。

競艇の特徴について

競艇は通常、6艇のボートによって行われます。それぞれ判別を容易にするため1号艇は白、2号艇は黒、3号艇は赤、4号艇は青、5号艇は黄色、そして6号艇は緑と色によってそれぞれ区別されており、こういった面は競馬や競輪、オートレースなどと同様であると言えます。

競艇は、競馬などと同じようにクラスによって階級が区別されています。これらは戦績などによって格付けされ、舟券を購入する際の貴重なデータとなります。しかし、競馬などと決定的に異なる競艇の特徴として「クラスによってレースが区別されない」というものを挙げることができます。これはどういう事かと言うと、たとえば競馬ですと末勝利馬はB2級とされもっとも低い階級の馬としてランク付けられ、逆に一番高いクラスの馬はA1級とランク付けされます。クラスが異なるこれらの馬が同一レースで競い合うという事はまずありませんが、競艇の場合はクラスの違うこうした選手達が無差別に競い合う場合が多々あります。もっと分かりやすく言うならば、ボクシングでいうところの「スーパーフライ級」と「ヘビー級」の戦いを容易に実現させてしまうのが、競艇という競技の一つの特徴であるということです。この場合、スキル、経験、戦績の優れた上位クラスの選手が勝利する場合が圧倒的に多いと言えますが、競艇で面白いのは「意外な結末も珍しくない」というところでしょう。ボクシングでスーパーフライ級の選手がヘビー級の選手に挑むのは無謀にすら見えてしまいますが、競艇の場合は格下選手が格上選手に勝利する可能性は十分あり得るのです。知略性の高い競技であるがゆえの特徴と言えるでしょう。水面上の競技だけに、波乱は絶えることがありません。こうした競艇の特徴が、多くのファンの心をとらえている一つの大きな要因であると言えます。

モーター抽選について

競艇でのレースに参加するにあたっては、モーターボートは選手への貸し出しとなり選手が持ち込むものではありません。全国の各競艇上においては、同一の規格に基づいたモーターボートが60機から70機も用意されているのが普通ですが、いくら同一の規格に基づいたものであるとは言っても、やはり些細な構造の違いや性質からそれぞれのボートが持つ個性や特色などが異なってきます。そのため、選ぶボートによってはレースを有利に進めることができたり、また逆にレースが不利になってしまったりという可能性も大いにあります。こうしたことから、レースの公平性を保つために、各選手へのボートの割り当ては「モーター抽選」というものによって決定されます。

このモーター抽選というシステムは、簡潔に言ってしまえばボートのくじ引きのようなものですが、これがレースの命運を分ける一つのキーポイントとなります。各選手は自分にあてがわれたモーターボートをそのまま使用するわけではなく、モーターに取り付けるプロペラは自分で持ち込むため、プロペラとモーターのマッチングなどといった整備などを行うことになります。この過程における整備などによってボートの個性が決定付けられると言っても過言ではないでしょう。もちろんこれまでに整備巧者達が手をかけたモーターなどはモーターとしての精度も高くなるということになり、逆に過去でたらめな整備をされたようなボートにあたってしまっては、これからそれを使用する選手には不利なボートとなってしまいます。同規格に基づいてボートを製造しても、実質的にまったく同一の性能を備えたボートを用意するのはほとんど不可能であるため、モーター抽選というくじ引きによって公正な処置を施す必要があるというわけです。

フライングスタート方式について

競艇のレースにおいては、「フライングスタート方式」という競艇独特の方式が採用されています。モーターボートは、車のような「ブレーキ」や「クラッチ」というものが備わっていません。選手がボートを操るには、ボートに備えられたレバーのみを使います。このレバーは車で言うところの「アクセル」に相当し、これを前に倒すことによってエンジンの回転数が上がってボートは加速され、逆にもとの位置にレバーを戻すことによってエンジンの回転数が下がりボートが減速するという仕組みになっています。

しかし、クラッチやブレーキといったエンジンの回転を制御するための装置が備えられていないため、エンジンは常に回転している状態になっています。つまり、「ボートは静止することができない」のです。もちろん水泳や陸上競技のように、静止した状態から何らかの合図と同時に一斉にスタートするという事ができません。そこで競艇用のスタート方式として「フライングスタート方式」が考案されたというわけです。

さて、ではこの「フライングスタート方式」、一体どのようなものかと言いますと、レース開始前にそれぞれのボートがコースを周回し、タイミングを合わせてスタートラインを一斉に追加する──といったものです。競艇ではこのスタートのタイミング合わせも非常に重要なものとなり、このタイミングによってレースを有利に進めたり(先行すれば引き波を利用して後続のボートを引き離すなど)、逆にタイミングを合わせられなかった場合はレース欠場、30日の競争自粛などのペナルティが課せられたりと、非常にシビアなものとなっています。また、6艇中5艇がスタートのフライングや出遅れをした場合、そのレースそのものが成立せず中止となります。